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  • 執筆者の写真田中亜弥

ミネラルとは

更新日:2020年5月3日


1.ミネラルとは

 人体の成分として体内に存在する元素は、約60種類と言われています。最も多いのが酸素で65%、次いで炭素18%、水素10%、窒素3%で、この4元素で96%を占めています。ミネラルとは、残り4%にあたる元素すべてを指しており、無機質ともいいます。また、ミネラルは、五大栄養素(炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル)のうちの1つです。


2.ミネラルの種類

 ミネラルには、約100種類の栄養素があると言われています。そのうち、人間の体に必要なミネラルは16種類と言われており、それらを「必須ミネラル」と言います。 また、1日の必要量が100mg以上のものを「主要ミネラル(多量ミネラル)」といい、人での必須性が認められているのは7種類です。また、100mg未満のものを「微量ミネラル」といい、9種類あります。

必須ミネラル

主要ミネラル:カルシウム、リン、カリウム、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウム

微量ミネラル:鉄、亜鉛、銅、マンガン、クロム、ヨウ素、セレン、モリブデン、コバルト


3.ミネラルの役割

 ミネラルは、体の調子を整えるために重要な役割を果たします。 ミネラルの必要量自体は少ないのですが、カラダを正常に保つために必要不可欠な栄養素と言えます。 そして、ミネラルは体内で生成ができない栄養素なので、日頃から食べ物や飲み物などで補う必要があります。

主要ミネラル

カルシウム(Ca):骨と歯を作るために必要な栄養素で、ミネラルの中でも1番に多い。体内にあるカルシウムは、99%が骨と歯にあり、そして残りの1%は筋肉や血液にある。 残り1%のカルシウムで、出血を止めたり、脳や筋肉の活動など生命の維持に重要。

リン(P):ミネラルの中でカルシウムの次に多い栄養素。体内にある85%のリンが、骨や歯を生成するために必要な栄養素。残りの15%は、筋肉や神経など色々な組織に含まれており、エネルギーを生成する。

カリウム(K):細胞内液の浸透圧の調整し一定をキープする働きや、水分を保持する。また、ナトリウムを排出する作用を持っているので、塩分の摂りすぎを調節する。

硫黄(S):タンパク質やホルモン、ビタミンの構成成分。

塩素(Cl):体液の浸透圧を調整し、胃液に含まれてる。また、ナトリウムとともに食塩(NaCl)として血液中に存在している。

ナトリウム(Na):食塩の形で摂取され、ほとんどが細胞外液に含まれており、細胞外液の浸透圧を調整したり、外液量を一定にキープする。それだけでなく、筋肉を正常に動かしたり、神経の情報伝達などにも関わる。

マグネシウム(Mg):カルシウムやリンと同様に骨や歯の生成に必要な栄養素。カルシウムはほとんどが骨に貯蓄されるのに対して、マグネシウムは、50%~60%が骨に含まれる。また、神経の興奮を抑制したり、エネルギーの生成をサポート、血圧の維持に働く。

微量ミネラル

鉄(Fe):体内にある約70%の鉄が、血液中にある赤血球を生成するヘモグロビンの成分となり、約25%の鉄が肝臓などに貯蓄される。ヘモグロビンは、呼吸から取り入れた酸素とくっつき、肺からカラダのすみずみまで酸素を運び届ける働きを持つ。

亜鉛(Zn):味覚を正常に働かせたり、アルコールの分解、性機能の維持に働く。また、新たな細胞を生成する際のDNAの複製、タンパク質の合成などにも関わる。細胞の再生に必要不可欠。

銅(Cu):銅は鉄が赤血球を生成するためにサポートをする役割。 また、銅はカラダの中にある様々な酵素となり、活性酵素を撤去する働きがあったり、骨の形成をサポートする働きもある。

マンガン(Mn): 色々な酵素の構成成分で、酵素の活性化に役立つ栄養素。 また、骨の形成したり、糖質や脂質の代謝に働く酵素、抗酸化作用のある酵素などの構成成分になる。

クロム(Cr):インスリン作用を増強し、糖代謝やコレステロール代謝にかかわる。

ヨウ素(I):甲状腺ホルモンの構成成分に利用される栄養素。代謝を促進する。 セレン(Se):酵素の成分として過酸化物を消去。水銀、カドミウム、砒素の毒性を軽減。 モリブデン(Mo):尿酸の合成にかかわる。

コバルト(Co):骨髄で赤血球の生成にかかわる。またビタミンB12no成分として働く。


4.ミネラルを多く含む食材

主要ミネラル

カルシウム(Ca):牛乳、小魚、海藻、大豆および大豆製品、緑黄色野菜

リン(P):魚類、牛乳・乳製品、大豆、肉類

カリウム(K):バナナ、メロンなど果実類、ほうれん草などの野菜類、さつまいもなどのいも類、大豆や小豆などの豆類、魚類、肉類

硫黄(S):肉、魚、卵、アブラナ科の野菜、ネギ類

塩素(Cl):食塩、しょうゆ、みそなどの調味料、中華麺、梅干しなどの漬物

ナトリウム(Na):食塩、しょうゆ、みそなどの調味料、中華麺、梅干しなどの漬物

マグネシウム(Mg):アーモンドをはじめとする種実類、魚介類、藻類、野菜類、豆類

微量ミネラル

鉄(Fe):魚、貝、大豆、緑黄色野菜、海藻

亜鉛(Zn):かきやうなぎなどの魚介類

銅(Cu):かき、するめなどの魚介類、レバー、ナッツ、大豆、ココア

マンガン(Mn): 全粒穀類、豆類、ナッツ、茶葉

クロム(Cr):小麦胚芽などの穀類や海藻類、魚介類

ヨウ素(I):わかめ、ひじきなどの海藻類や魚介類 セレン(Se):魚介類や肉、豆類 モリブデン(Mo):豆類、穀物やナッツ類

コバルト(Co):肉、腎臓、レバー、ミルク、カキ、はまぐり、あさり


5.ミネラルの過不足による弊害

 体液や組織液のミネラルは、いつも一定の濃度で保たれています。食事から摂取するミネラルの不足や過剰が長く続くと、体液や組織液のミネラルの恒常性が保てなくなり、各ミネラル特有の欠乏症や過剰症が現れます。

主要ミネラル

カルシウム(Ca):[欠乏]骨粗しょう症[過剰]ミルク・アルカリ症候群

リン(P):[欠乏]骨や歯の発育不全、骨粗しょう症[過剰]カルシウムの吸収を阻害

カリウム(K):[欠乏]筋力低下、疲労[過剰]腎機能低下により高カリウム血症

硫黄(S):[欠乏][過剰]たんぱく質を適切に摂取していれば過不足はない

塩素(Cl):[欠乏]食欲不振、消化不良、栄養素の吸収阻害[過剰]特になし

ナトリウム(Na):[欠乏]食欲不振、吐き気[過剰]高血圧

マグネシウム(Mg):[欠乏]神経過敏、虚血性心疾患[過剰]まれに低血圧、筋肉麻痺

微量ミネラル

鉄(Fe):[欠乏]鉄欠乏症貧血症[過剰]便秘、胃腸障害

亜鉛(Zn):[欠乏]味覚異常、食欲不振[過剰]胃障害、めまい、吐き気、貧血

銅(Cu):[欠乏]まれに貧血、骨異常[過剰]特になし

マンガン(Mn): [欠乏]成長阻害、生殖機能障害[過剰]まれに神経症状

クロム(Cr):[欠乏]末梢神経障害[過剰]特になし

ヨウ素(I):[欠乏]甲状腺肥大[過剰]甲状腺機能障害 セレン(Se):[欠乏]克山病、貧血、関節炎[過剰]脱毛、免疫機能の低下 モリブデン(Mo):[欠乏]特になし[過剰]特になし

コバルト(Co):[欠乏]悪性貧血や知覚異常、神経障害[過剰]特になし

 

 現代の日本人のミネラル摂取においては、特にカルシウムや鉄の欠乏が見られます。また、一方で、日本食は塩分が高いので、ナトリウムを適正量よりも多く摂っている傾向にあります。欠乏症や過剰症にならないためにも、ミネラルもバランスよく摂取したいですね!


次回は、人間の体に必要不可欠な「水」についてです。お楽しみに!


〔参考文献〕

・『改訂新版いちばん詳しくて、わかりやすい!栄養の教科書』中島洋子監修(新星出版社)

・『ミネラルの種類と栄養、生理作用|ミネラル大辞典』(食と健康の総合サイト e840.net)

※なお、このブログは、タイトルに関する基本情報を出来るだけ端的に分かりやすく伝えるために、文献から多く引用している箇所もありますが、著作権を侵害する意図はありません。私自身の知識をまとめる作業の一環でもあり、至らない所もあると思いますので、より詳しく知りたい方は上記の文献をぜひご覧ください。

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