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  • 執筆者の写真田中亜弥

ダイエットとカロリー②

更新日:2020年5月3日

今回は、前回の記事「ダイエットとカロリー①」の続編です。


1.ダイエットにおけるカロリー計算方法

(1)体脂肪を1kg落とすには

 脂肪1g消費させるのに必要なエネルギー量は、約9kcalです。体の脂肪組織1kg中で、体脂肪は約80%占めているので、1kg分の脂肪組織を減らすのに消費しなければならないエネルギー量は、9kcal×1000×0.8=7200kcalです。

 ダイエット時の摂取エネルギーの計算方法は、以下のような数式になります。

1日の推定エネルギー必要量−減らしたい体重×7200÷(●ヶ月×30日)

=目標とする1日あたりの摂取カロリー

(2)具体例

 例えば、基礎代謝1200kcalで、身体活動レベルⅠの人(Aさんとします。)の推定エネルギー量は、1200kcal×1.5=1800kcalです。Aさんが現在体重60kgで、2ヶ月で5kg減量したいとします。その場合、目標とする1日あたりの摂取カロリーは、1800kcal-5kg×7200÷(2ヶ月×30日)=1200kcalです。目標とする1日あたりの摂取カロリーが基礎代謝よりも低くなると、体内のたんぱく質がエネルギーとして使われるため、筋肉量が減り、基礎代謝量が落ち、エネルギーを蓄えようとする働きが強くなります。そのため、リバウンドしやすくなります。なので、この方の場合、2ヶ月で5kgの減量は、目標とする1日あたりの摂取カロリーと基礎代謝量が同じになるので、リバウンドしにくい範囲内ということになります。そして、この設定した目標の摂取カロリーの中で、PFCバランスを気をつけると、より体脂肪を落としやすく、ダイエットの成功率を上げられます。


2.PFCバランス

(1)PFCバランスとは

 PFCバランス(エネルギー産生栄養素バランス)とは、食事の三大栄養素(たんぱく質(Protein)・脂質(Fat)・炭水化物(Carbohydrate))のエネルギー比率のことです。食べ物のエネルギーは、主に三大栄養素の含有量(g)にこれらのエネルギー量(kcal)を掛けて合計した数値で表示されています。三大栄養素は、1gあたりたんぱく質が4kcal、脂質が9kcal、炭水化物が4kcalです。厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2000年版)」で設定されているエネルギー産生栄養素バランスの目標量の範囲は、たんぱく質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%です。ただ、ダイエットをする場合、筋肉が落ちるのをできるだけ防ぎ、その上で糖質や脂質は抑えると効果が高いので、たんぱく質30〜40%、脂質20%、炭水化物40〜50%を目標とするといいと言われています。

(2)具体例

 では、Aさんが2ヶ月で5kg減量する場合、1日あたりの三大栄養素の量はそれぞれどれくらいになるのでしょうか?たんぱく質(P):脂質(F):炭水化物(C)=4:2:4で計算した場合、下記の数式になります。

・たんぱく質:1200kcal×0.4=480kcal、480kcal÷4kcal=120g

・脂質:1200kcal×0.2=240kcal、240kcal÷9kcal=約26g

・炭水化物:1200kcal×0.4=480kcal、480kcal÷4kcal=120g

目標とする1日摂取カロリー1200kcalのうち、たんぱく質120g、脂質26g、炭水化物120gを目標とすると、2ヶ月で5kgの減量ができるという計算になります。

ぜひダイエットするときの参考にしてみてください。


次回は、「GI値と血糖値」についてです。お楽しみに!

〔参考文献〕

・『改訂新版いちばん詳しくて、わかりやすい!栄養の教科書』中島洋子監修(新星出版社)

パスタ65

中華めん65

おかゆ(精白米)57

玄米56

そば54

全粒粉パン50

全粒粉パスタ50


<野菜類>

ジャガイモ90

ニンジン80

やまいも75

トウモロコシ75

ながいも65

かぼちゃ65

さといも64

栗60

さつまいも55

ゴボウ45

タマネギ30

トマト30

長ネギ28

キャベツ26

ピーマン26

サヤインゲン26

大根26

竹の子26

ブロッコリー25

レタス23

小松菜23

きゅうり23

もやし22

ほうれん草15


<砂糖・菓子・飲料水>

上白糖99

チョコレート91

大福もち88

ドーナッツ86

キャラメル86

フライドポテト85

ショートケーキ82

ホットケーキ80

みたらし団子79

クッキー77

はちみつ75

クラッカー70

カステラ69

プリン52

ココア47

ゼリー46

100%果汁オレンジ42

カフェオーレ39

 高GI値の食品は、すぐにエネルギーになりやすいため、運動前にエネルギー摂取にオススメです。普段は、低GI値の食事で炭水化物をゆるやかに吸収させることが、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防につながります。GI値とうまく向き合っていくのが大切です。


次回は、「アミノ酸」についてです。お楽しみに!


<参考文献>

・『e-ヘルスネット 血糖値厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

・『血糖値とGIの関係性』(大塚製薬)

※なお、このブログは、タイトルに関する基本情報を出来るだけ端的に分かりやすく伝えるために、文献から多く引用している箇所もありますが、著作権を侵害する意図はありません。私自身の知識をまとめる作業の一環でもあり、至らない所もあると思いますので、より詳しく知りたい方は上記の文献をぜひご覧ください。

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