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  • 執筆者の写真田中亜弥

アルコール(お酒)と体づくり

更新日:2020年6月19日

 「痩せたいけど、お酒はやめられない!」という方のお声をよく聞きます。

今回は、ダイエットやボディメイクをするにあたり、アルコールが体や筋肉にどのような影響を与えるのかについて、お話ししていきたいと思います。


1.アルコール飲料の種類

 アルコール飲料(お酒)には、(1)醸造酒、(2)蒸留酒、(3)混成酒の3種類があります。

(1)醸造酒

 醸造酒とは、穀物や果実をアルコール発酵させて造る酒のことです。蒸留酒に比べ、アルコール度数は低く、最高でも20度程度です。(※1)

 <例>ビール、ワイン、日本酒、紹興酒など

(2)蒸留酒

 蒸留酒とは、醸造酒(発酵液)を熱し、水とアルコールの沸点の違いを利用して作られるお酒のことです。水よりも低い沸点のアルコールを気化させたものを冷やして液化することで、もとの醸造酒よりもアルコール度数の高い液体になります。(※2)

 <例>ウイスキー、ジン、ウオッカ、ラム、テキーラ、焼酎、泡盛など

(3)混成酒

 醸造酒や蒸留酒に香料や果実、糖を加えてつくったお酒です。(※2)

 <例>梅酒・リキュール・ベルモット・薬酒・みりんなど

 上記の3種類の中では、一番蒸留酒が太りにくいといわれています。なぜなら、醸造酒や混成酒と違って、糖質をほとんど含まないからです。その分、カロリーは抑えられますが、蒸留酒のように度数が高いお酒は、アルコールを分解するのに時間がかかるので、大量に摂取した場合、肝臓への負担が大きく、結果として太る可能性もあります。


2.アルコールのカロリー

 アルコールのカロリーは、1gあたり7.1kcalです。しかし、アルコールのカロリーは、体内に入ると体熱として発散され、体内に蓄積するエネルギーにはなりにくいと言われています。このことから、「エンプティカロリー」と呼ばれています。ただ、ここでいうエンプティとは、栄養素を含まないことからきているので、カロリーがない=太らないという訳ではありません。

 また、下記のアルコールのカロリー比較を見ると、同じ100mlの場合、蒸留酒の方がカロリーが高いものが多いです。しかし、醸造酒のビールやワインはカロリーが低くても、糖質が多い上、つい量を飲んでしまいがちになるので、摂取量には気をつけたいです。

<アルコールのカロリー比較(100mlあたり)>

・ビール:40kcal

・ワイン:73kcal

・日本酒:103kcal

・ウイスキー:237kcal

・甲類焼酎:206kcal

・乙類焼酎(本格焼酎):146kcal

・梅酒:156kcal

(※出典:日本食品標準成分表2015年版七訂)


3.アルコールとダイエット

(1)アルコールと肝臓

 アルコールは胃から20%、小腸から80%が吸収され、その大部分が肝臓で処理されます。肝臓内では、まず、悪酔いや頭痛、動悸の原因ともなるアセトアルデヒドになります。それから、酢酸へと分解されます。この酢酸は血液によって全身へとめぐり、水と二酸化炭素に分解され、汗や尿、呼気中に含まれ、外へ排出されます。(※3)

 適量のお酒であれば、肝臓でのアルコール代謝が円滑にすすみ、アルコールのエネルギーはすべて使われると考えられています。

 しかし、アルコールを大量に飲み続けると、肝臓での中性脂肪の合成が高まり、その結果、肝臓に中性脂肪が蓄積した状態の脂肪肝になります。

(2)アルコール摂取時の食事

 アルコールを摂取すると、肝臓でアルコールを分解する際に糖分を必要とするため、急激に血糖が消費され、血糖値が下がります。血糖値が下がることで、脳が錯覚を起こし、炭水化物を欲するようになります。そのため、ついアルコールと一緒に食べ過ぎてしまい、結果としてカロリーオーバーとなり、太ってしまうことになります。

 また、アルコールを摂取すると、体内のカリウムやナトリウムの量が低下します。そのため、お酒を飲んだ際は、塩分の多いものを食べたくなります。飲んだ後に、ラーメンを食べたくなるのは理にかなっているのです。しかし、炭水化物と塩分の多い食事は、肥満など生活習慣病の原因になります。特に炭水化物を欲するのは、一時的な錯覚なので、おつまみには枝豆や豆腐、お刺身など、高タンパク低脂質なものをオススメします。


4.アルコールと筋肉

(1)テストステロンの分泌の減少

 アルコールを摂取すると、テストステロンの分泌が減少すると言われています。テストステロンとは、男性ホルモンの一種で、筋肉の生成を促し、筋肉の分解を防ぐ作用があります。つまり、継続的に大量のアルコールを摂取し続けると、筋肉量や筋力の低下を招くことが考えられます。(※4)

(2)コルチゾールの分泌の増加

 飲酒すると、コルチゾールというホルモンが副腎から分泌されます。ストレスを受けた時に分泌が増えることから「ストレスホルモン」とも呼ばれています。コルチゾールには、筋肉を分解する作用があるので、筋肉量の低下に繋がります。

 しかし、お酒が好きな方が、無理して飲酒をゼロにすることもストレスになる可能性があります。体づくりにおいて、ストレスが一番の敵だと思うので、適量の飲酒を楽しみながら、おつまみなど食事内容を気をつけることが大切だと思います。


<参考文献>

蒸留酒とは?(国分焼酎倶楽部)※2

アルコール代謝のしくみ(アサヒグループ)※3

飲酒は筋肉を破壊する?(筑波大学 陸上競技研究室)※4

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