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  • 執筆者の写真田中亜弥

ドーピングとは2

 ドーピングについて、第2弾をお届けしたいと思います。

 今回は、アンチドーピングスポーツであるパワーリフティングの競技者として、普段から私自身が気をつけていることについて、お話ししていきます。


1.医薬品の購入について

 ドーピング禁止物質は、病院で医師から処方される医療用医薬品や、ドラッグストア等で購入できる市販薬(OTC薬)にも広く含まれています。なので、私は、病院で治療を受けたり、薬を処方してもらう場合は、必ず競技をしている旨を伝え、禁止物質を避けた治療をしてもらっています。特に処方してもらう際は、出来る限りスポーツファーマシストという、最新のアンチ・ドーピング規則に関する知識を有する薬剤師の方に相談するようにしています。

 また、市販薬を購入する場合は、Global DROという、薬の商品や成分を検索できるサイトを利用し、アスリートとして安全な薬かを必ず調べています。

 なお、以下の薬には特に注意が必要です💡

【医療用医薬品】

風邪薬、咳止め

アレルギーの薬、花粉症の薬

喘息治療薬

無月経、子宮内膜症の治療薬

難聴やめまいの治療薬

低血圧を治療する薬

高血圧を治療する薬(特に配合薬)

不整脈の薬

インスリン

【市販薬(OTC薬)】

風邪薬(総合感冒薬)

鼻炎、花粉症の治療薬

咳をとめる薬

体毛を濃くするぬり薬


2.サプリメント(栄養補助食品)の購入について

 私は、サプリメントを購入する場合、サプリメントの検査プログラムにより、特定の禁止物質に対する試験に合格したマークのついているもののみ、選ぶようにしています。

 サプリメントは「薬品」ではなく「食品」なので、医薬品とは異なり、含有成分が商品表示にすべて記載されているわけではありません。つまり、表示されていない禁止物質を含むものもありますので、表示成分だけを見て「大丈夫」と判断するのはとても危険です。 特に海外や通信販売で購入する海外製品は危険と言われています。その中でも、①筋肉増強、②脂肪燃焼、③痩身(やせること)などを目的とするサプリメントは、特に注意が必要です。なぜなら、①には蛋白同化ホルモン(男性ホルモン)、②には覚せい剤(メタンフェタミン)と化学的な構造が極めて似ている成分であるエフェドリン(エフェドラ)、③には、利尿薬・エフェドリンなどの禁止物質が表示されていないのに含まれていたという報告があるからです。(※1)

 しかし、サプリメントの含有成分をすべてを明らかにすることは困難なため、サプリメントに禁止物質が含まれていないか明確な答えを出すことは誰にもできません。あくまでも「自己責任」で摂取することになります。


3.競技者としての自覚と責任

 以上のことから、私は、特定の禁止物質に対する試験に合格したマークのついている国産メーカー(ゴールドジム、バルクスポーツ、HALEO等)のサプリメントのみ購入し、海外製のものは購入しません。もちろん海外製品全てがダメという訳ではありませんし、海外製品は安かったり、特に最近では有名な筋トレYouTuberが勧めていたりすることも多いので、何の抵抗もなく購入することが多いと思います。だから、アンチ・ドーピングを謳う競技に参加する予定のない方ならば、これらの製品を使用しても問題無いと思います。私は、競技者として試合に出るため、毎年アンチ・ドーピング講習会にも参加しています。少なからずアンチドーピングを掲げるスポーツに出るアスリートとして、上記のリスクを踏まえた上で競技者としての「自覚」と「責任」を持つことが最低限のマナーであると、私は考えています。競技者として、またトレーナーとしてこれからも長く活動していくためにも、私自身、今一度気を引き締めていきたいと思います。


<参考文献>

うっかりドーピングを防止しよう 一般・選手向けページ(公益社団法人 東京都薬剤師会)※1

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