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  • 執筆者の写真田中亜弥

血糖値とGI値

更新日:2020年5月15日

1.血糖値とは

(1)血糖値

 皆さんが普段よく耳にする「血糖値」は、血液中に含まれるブドウ糖=グルコースの濃度のことを言います。摂取した炭水化物は消化吸収されると、グルコースとなり、グルコースの一部は肝臓にグリコーゲンとして貯蔵されたり、血中に出て全身に運ばれ、主にエネルギー源となります。血糖値はいつも一定に保たれていますが、健康な人でも食前と食後で変化します。

 血糖の濃度が上昇すると、すい臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。インスリンは筋肉や肝臓、脂肪細胞へのグルコースの取り込みを促進し、血糖値を下げます。筋肉や肝臓に取り込まれたグルコースはグリコーゲンとして、脂肪組織に取り込まれたグルコースは体脂肪として貯蔵されます。

 一方、空腹になると血糖値が下がります。すると、同じくすい臓から分泌される「グルカゴン」というホルモンなどの働きにより、肝臓などに貯蔵されたグリコーゲンを分解してグルコースを血中に送り、血糖値を正常に戻します。

(2)低血糖と高血糖

 血糖値が必要以上に低くなることを「低血糖」と呼び、血糖値が下がった際の血糖を上げようとする交感神経刺激ホルモンの作用で、ふるえや動悸の症状が起こり、脳へのエネルギー不足から意識低下や昏睡に至る場合があります。 よく糖質が足りなくなると、眠くなるのはこのためです。

 反対に、血糖値が高いまま下がらない状態が続くことを「高血糖」と呼びます。この状態が長く続くと血管が傷ついて動脈硬化を引き起こし、糖尿病など様々な病気を発症する危険が高まります。ちなみに、糖尿病とは、インスリン分泌の不足か、分泌されても十分に働かないために血糖値が慢性的に高くなる病気です。


2.GI値とは

 GI値とは、食後血糖値の上昇を示す指標のことで、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)の略です。分かりやすく言うと、摂取した食べ物が体内で糖質に変わり、さらに血糖値が上昇するまでのスピードを測定したもので、糖質の吸収度合いを数値で示したものといえます。ブドウ糖50gの血糖値上昇速度に対し、上昇速度を1〜100の指数で表示します。


.GI値とダイエット

 多くの糖を摂取(血糖値が急上昇)した場合、インスリンが通常より多く分泌されます。インスリンは脂肪の合成を高め、脂肪の分解を抑制する作用を持っています。したがって、脂肪が蓄積されやすくなります。この状況を回避するためには、インスリンを過剰に分泌させないこと、つまり、「血糖値を急激に上げないこと」が、ダイエットにおいて重要なポイントとなります。そこで、GI値の低い食品を意識的に摂取し、食べても太りにくい状況を作ることが大切です。


4.主な食品のGI値

 GI値が70以上の食品を高GI食品、56~69の間の食品を中GI食品、55以下の食品を低GI食品と定義しています。以下、各食品のGI値の目安です。

<穀物・パン・めん類>

食パン95

フランスパン95

もち85

うどん85

精白米84

ロールパン83

そうめん80

コーンフレーク75

胚芽精米70

クロワッサン70

パスタ65

中華めん65

おかゆ(精白米)57

玄米56

そば54

全粒粉パン50

全粒粉パスタ50


<野菜類>

ジャガイモ90

ニンジン80

やまいも75

トウモロコシ75

ながいも65

かぼちゃ65

さといも64

栗60

さつまいも55

ゴボウ45

タマネギ30

トマト30

長ネギ28

キャベツ26

ピーマン26

サヤインゲン26

大根26

竹の子26

ブロッコリー25

レタス23

小松菜23

きゅうり23

もやし22

ほうれん草15


<砂糖・菓子・飲料水>

上白糖99

チョコレート91

大福もち88

ドーナッツ86

キャラメル86

フライドポテト85

ショートケーキ82

ホットケーキ80

みたらし団子79

クッキー77

はちみつ75

クラッカー70

カステラ69

プリン52

ココア47

ゼリー46

100%果汁オレンジ42

カフェオーレ39

 高GI値の食品は、すぐにエネルギーになりやすいため、運動前のエネルギー摂取にオススメです。普段は、低GI値の食事で炭水化物をゆるやかに吸収させることが、肥満や糖尿病、高血圧などの生活習慣病の予防につながります。GI値とうまく向き合っていくことが大切です。


次回は、「アミノ酸」についてです。お楽しみに!


・『改訂新版いちばん詳しくて、わかりやすい!栄養の教科書』中島洋子監修(新星出版社)

・『e-ヘルスネット 血糖値厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト

・『血糖値とGIの関係性』(大塚製薬)

※なお、このブログは、タイトルに関する基本情報を出来るだけ端的に分かりやすく伝えるために、文献から多く引用している箇所もありますが、著作権を侵害する意図はありません。私自身の知識をまとめる作業の一環でもあり、至らない所もあると思いますので、より詳しく知りたい方は上記の文献をぜひご覧ください。

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