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  • 執筆者の写真田中亜弥

クレアチンとは

更新日:2020年5月15日

 今回は、私も毎朝食後に摂取している「クレアチン」についてです。クレアチンを飲むことで、確実に筋力アップし、特に競技(パワーリフティング)に生かせている実感があります。私にとって欠かせないクレアチンについて調べてみました。


1.クレアチンとは

 クレアチンは、クレアチンリン酸の構成成分です。クレアチンは、肝臓や膵臓で、3種類のアミノ酸(アルギニン、グリシン、メチオニン)から作られています。

 クレアチンの約90%は、骨格筋に貯蔵されています。また、成人のクレアチンの総貯蔵量は80〜130g で、体重70kgの人で約120gと言われています。一方、毎日1〜2gのクレアチンが分解され、最大で160gのクレアチンを貯蔵できると考えられています。

 クレアチンは、肉や魚などから摂取できますが、これらには500gあたり約3gほどしか含まれていません。更に、熱に弱いため、実際に食事から摂取できる量はわずかです。そこで、サプリメントで効率よく摂取し、体内のクレアチンの貯蔵量を増やすことで、運動のパフォーマンスを改善できると言われています。(※1)


2.エネルギー源(ATP)とクレアチン

 筋肉は、動く際に多くのエネルギーを必要とします。 クレアチンはこのエネルギーを素早く使えるように助けてくれます。特に、短距離走などの短時間・高強度運動=無酸素運動(酸素と無関係な運動)をすると、筋肉はすぐに利用できるエネルギー源を使います。 このエネルギー源が、“アデノシン三リン酸(ATP)”です。

 ATPは、全筋収縮のエネルギー源であり、自動車でいうとガソリンのようなものです。ATPは、アデノシンに3つのリン酸基が結合したもので、ATPから1つのリン酸基が離れて、ADP(アデノシン二リン酸)となる時にエネルギーを放出します。しかし、ATPは筋肉中にごく少量しか貯蔵できないため、使われるたびに絶えず再合成しなければいけません。ATPの再合成に最初に使われるのが、クレアチンリン酸です。クレアチンリン酸は、筋肉中に高エネルギーのリン酸を貯蔵する働きがあります。そして、クレアチンリン酸からリン酸基が離れ、アデノシン二リン酸と結合することで、ATPが生まれます。

クレアチンリン酸+アデノシン二リン酸(ADP)

→クレアチン+アデノシン三リン酸(ATP)


3.クレアチンの働き

 クレアチンリン酸の構成物質であるクレアチンを補給すると、筋肉に貯蔵されているクレアチンリン酸を増やすことができます。 これにより、激しく筋肉を使用する際のパフォーマンスを向上させ、その結果、筋肉の成長と筋力アップに繋がります。

 また、クレアチンリン酸の貯蔵量が多いほど、ATPの再合成が早まるため、激しい運動後の回復を助けてくれます。

 これ以外にも、クレアチンの5%は、脳に貯蔵されているため、クレアチンを摂取することで、精神疲労や記憶力の向上にも効果があると言われています。(※3)


4.クレアチンの摂取量とタイミング

(1)摂取量

 クレアチンの効果的な摂取方法は大きく2種類あると言われています。

 1つ目は、「ローディング」といって、最初の5〜7日間は、体重1kgあたり〜0.3gのクレアチンを1日数回に分けて、クレアチンを多めに摂取する方法です。その後、高まった骨格筋のクレアチン濃度を維持するために1日あたり3〜5gを継続して摂取していきます。(※2)

 2つ目は、少量(1日あたり3〜5g)のクレアチンを3〜4週間にわたって摂取し続ける方法です。(※1)

(2)タイミング

 クレアチンは、主にインスリンによって、筋肉中に運ばれます。インスリンは、炭水化物(糖質)を摂取したときに分泌されるホルモンです。また、筋トレをすると、インスリン感受性が高まり、筋肉に栄養が行き渡りやすくなります。

 そのため、クレアチンと糖質が一緒に摂れる食後かトレーニング後がオススメです。(※4)


5.クレアチン摂取における注意点

 クレアチンを摂取し始めると、筋肉に含まれる水分量が増えるため、最初の1週間で約1〜2kg増加する可能性があります

 また、体内に貯蔵できるクレアチン量は決まっており、摂りすぎると、クレアチンが体内でクレアチニンという代謝物となって腎臓から排泄されるので、腎臓に負担がかかるとも言われています。

 そのため、体調に合わせて、適量を摂取することが大切です。(※1)


6.まとめ

 私は、女性でクレアチンを摂取しているという方を、あまり聞いたことがありません。それは、そこまで筋力アップや筋肥大を狙う女性が少ないからという理由もあると思いますが、1番は体重が増えることに抵抗があるからだと思います。私自身、最初は抵抗がありましたが、増えたのは数100g程度でした。それ以上にトレーニングの質が向上するのを実感します。サプリメントの中でも手頃なのも続けやすいポイントだと思うので、気になる方はぜひお試しください!


次回は、きっと皆さんにとっても馴染みのあるカフェインについて調べていきます。お楽しみに!

 

<参考文献>

『スポーツ栄養学 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる』(一般財団法人 東京大学出版会)※1

クレアチンについて』(くすりの和漢堂)※3

クレアチンの効果や正しい飲み方とは』(江崎グリコ株式会社)※4

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